「一緒にやろう、レンジャー/ガンナー。最強だよ?」
「自分の腕じゃ最強になれるかどうかw」
「黎次君は十分強いよ?」
キャラを消してしまった自分を心配してチャットを飛ばしてくれたフレンドさんとのやりとりである。
強い?そんなわけがない。
自分の出来ることなど大抵の人がこなせることしかないのだ、、、と自分では思っている。
しかし、本当の所はどうなのか。
自分はいまどれくらいできているのだろう。
いまいち信用しきれない他者の評価。
弱いと決めつけて実力を測らない自分の評価
試してみたい。
レベルは20、ハード受注がギリギリ可能なライン。
今行ける範囲での強敵ヴォルドラゴン、ハードならレベル32だ。
この力量差はいい腕試しになる。
出来る限り弓の使用は控える、遠距離の戦いかたはレンジャー時にある程度覚えた。
狙うは近接、カタナによる討伐を。
見届け人(及びもしものときのムーン係)としてユクさんに声をかけ、雑魚殲滅のお願いとスターアトマイザーの禁止を告げる。
「修行ですか?」
「まぁ、そんなところです。」
勢いよくテレポーターに飛び込むとヴォルドラゴンのムービーが流れる。
「まじか、、、」
思わず声が漏れる、まさかの寄生体だ。
しかし投げ出すわけにはいかない。
カタナを構え、ヴォルドラゴンに切りかかる。
しかし所詮はハードに上がったばかりのブレイバー、一撃一撃があまりにも軽い、想像よりも大分。
予想がハズレたことで焦りを生じ、見えているはずの突進やブレスを交わし損ねる。
こちらも想像以上に重く、体力の半分がもっていかれた。
2撃はくらえない。成る程、確かにハードだ。
なんとか気持ちを落ち着かせ、休みなくヴォルドラゴンに切りかかる。
威力が足りないのならば手数で稼ぐしかない。
しかし上手く尻尾の先端にある水晶を壊せず、上空に飛び上がるあヴォルドラゴン。
火球をよける為その巨体の下に潜り込んだ
はずだった。
轟音と共に吹き飛ぶ身体。
適正レベルでもきつい一撃をまともにくらって立ち上がれるわけもなかった。
「あらら」
あくまでも口調は軽く、でも内心では、
やっぱりかという諦めと、こんなはずではという嘆き。
ユクさんが駆けつけムーンを放り投げる。
立ち上がる身体、折れかけた心。
それでも、
2度目はない、自分が望む戦いかたではなくても確実に。
武器を弓メインに変更、尻尾を重点的に狙う。
今の攻撃力なら潜る前に水晶を壊すことはほぼあり得ない。
壊しきれずに飛び上がってしまった時も、尻尾の位置と影を確認しながら確実に足下にはいりこむ、同じ失敗は出来ない。
水晶破壊後のダウン時にはカタナに持ち変え、カタナコンバットを使い寄生部分に絶え間なく斬撃を浴びせる、もちろんコンバットフィニッシュも忘れない。
確実に、堅実に。
結果、3度目の水晶破壊前にヴォルドラゴンを倒す事に成功した。
時間にして30分ほど、1落ち。
某狩りゲームなら格上相手に上等な成績だろうが、PSO2でソロ狩りなら落ちた時点でクエスト失敗だ。
「まだまだだね~」
出来る限り、軽く。
ユクさんの「そんなことないです、格好良かったですよ」の言葉も素直に受け取れない。
悔しくて情けなくて、本当に格好悪い。
その後、キャンプシップでユクさんとお話ししてなんとか気持ちは持ち直したが、悔しさは引きずっている。
やはり自分はまだまだ強くはない。
これ一回で決めてしまうのは早計かも知れないが、ここが自分の中で折り合いがつけられるラインだったのだ。
「、、、強くなりたいな」
小さく呟く。
「なりたいですね、心身共に」
ユクさんが答える。
レベルではない、強さ。
もっとこの世界を楽しむために。
弱い自分をみつけたなら。
その弱さを優しさに変えて。
周りの皆に支えてもらいながら。
少しでもいいから、前へ。
強くなるために。
あんまり正面から喜んでいないだろうな……と思ったら、やはり……。
返信削除でも、悔しいからと腐ってしまわずに、悔しさをバネにする力がある、それだけでも十分誇れる事だと思います。
決意をしたおじさんの背中、追いかけさせて下さいね。
対峙して、厳しいが勝てないレベルではないな、と思ったので悔しさもひとしお。
返信削除あそこでミスする辺りが自分の実力なんだなぁ、といまは受け入れてます、悔しいですが。
追いかけるなんていわないで追い越す勢いで来てください♪